Case Study
CASE. 2
先代経営者の経営権を維持した株式の承継
親族内承継
先代経営者の経営権を維持した株式の承継
(1)相談前(課題)
- ・ 相談者は社長、経営の承継は段階的に進んでいるが、先代(会長)から社長への株式の承継はあまり進んでいない状況である。
- ・ 会長としては、株式の承継までしてしまっては、自分の会社への影響力が無くなってしまうのではないかと考えており、株式の承継には躊躇している。
- ・ 社長は会長の意思に反してまで株式の承継を急ごうとは思っていないが、なにかいい対策があれば教えてもらいたい。
(2)対策の実行(弊社による関与)
- 課題解決
- ・ 社長との打合せにより会社の状況を確認した結果、不良資産の処分が予定されている翌期に業績が一時的に悪化する可能性があることが判明した。そうなるとそのタイミングで株価が低くなるタイミングが発生するため、その時期に株式の承継の絶好のタイミングがくることが判明した。
- ・ 現状のままでは、株価が低くなる承継のタイミングがきたとしても、会長から社長に株式の承継の承諾が得られるかは不透明であったため、持株会社制の導入による対策を提案。持株会社制を導入することにより、会長から社長への株式の承継を行った場合でも会長にしっかりと経営権を残すことが可能となる。
- 更なる提案
- ・ 会長に持株会社の代表となっていただくことで経営権を残すができるが、その代表の地位を盤石なものとするため、種類株式による対策を同時に実施することを提案した。
(3)相談後(結果)
- ・ 社長から会長へ経営権を残しながら株式の承継ができることをしっかりと説明していただいたところ、株価が低くなるタイミングでの株式の承継を快諾していただき、そのタイミングを待って、社長への株式の集約が完了した。
- ・ 種類株式による対策も無理にやる必要はない旨を説明したところ、会長が安心するであろうからと対策を実行することとなり、会長の経営権を確保できる体制がより盤石なものとなった。
- ・ 社長は会長への感謝の気持ちをしっかりと持ち、これからも二人三脚で事業を行っていきたいと決意を新たにされ、とても心温まる事業承継となった。なお、この持株会社による事業承継対策は、次の事業承継の準備としても非常に有効な対策となっているのである。